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本棚の整理をしてゐて、ふたつの文庫が際立つて個性的であることに改めて感動を覚えた。すなはち、光文社古典新訳文庫とウェッジ文庫である。光文社古典新訳文庫は「新訳」の名前にふさはしい精力的で粒ぞろひの訳がそろつてゐるし(拙訳のことは棚に置く)、ウェッジ文庫には今では忘れられたばかりでなく、手にも入りにくい稀覯本がいくつも収録されてゐて、ともに本好きには堪らない文庫である。この二つに比べれば岩波文庫も新潮文庫も詰らぬ作品、生硬な翻訳が目立つて、新刊が出たらまづ読むといふ風にはなかなかならない。それは何より編集方針がしつかりしてゐるからであり、質の高さを守らうといふ意識が高いからでもあるだらう。具体例をウェッジ文庫からとるとして、
岩本素白「東海道品川宿」 浅見淵「新編・燈火頬杖」 平山蘆江「東京おぼえ帳」 平山蘆江「蘆江怪談集」 岩佐東一郎「書痴半代記」 川上澄生「明治少年懐古」 内田魯庵「漠の舌」 馬場孤蝶「明治文壇の人々」 室生犀星「庭をつくる人」 松永伍一「蝶は還らず――プリマ・ドンナ喜波貞子を追って」 大原富枝「ベンガルの憂愁――岡倉天心とインド女流詩人」 大原富枝「彼もまた神の愛でし子か――洲之内徹の生涯」 食満南北「芝居随想 作者部屋から」 楠見朋彦「塚本邦雄の青春」 島内景二「光源氏の人間関係」 柳沢慎一「明治・大正 スクラッチノイズ」 橋本敏男「増補 荷風のいた街」 などなど。 そして、十二月後半(18日から21日の間)には、待望の二冊が刊行される。 薄田泣菫「独楽園」(私の解説) 野口冨士男「随筆集 作家の手」(武藤康史編) 本が好きで、といふなら、以上のすべてを揃へるべしといふのが私の考へだが、それは光文社の慧眼の編集者堀内健史さんやウェッジ文庫のすぐれた編集者服部滋さんを存じ上げてゐるからではない。近年、これほどに主張をもつた文庫は、光文社古典新訳文庫とウェッジ文庫くらゐしかないからである。 どうか皆さまにあられては一冊、また一冊といふ買ひかたでよろしいので、上記二種の文庫のラインナップを揃へられることを切に望みたい。 かういふ文庫が存続すること。それがすなはち、我が国の出版の命脈を保つことに繋がるだらう。これらふたつの文庫のためなら私はいくらでも提灯を持つつもりである。
by romitak
| 2009-11-16 12:43
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