以前の記事
2017年 03月 2017年 02月 2016年 11月 2016年 09月 2016年 02月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 09月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
9日に他界した大学の同級生、早稲田の教授で翻訳家の三川基好が大学の在外研究でアメリカにゐたとき、三日間パリに来たことがありました。1991年か1992年だつたでせうか。わたくしがパリにゐたから来てくれたのでしたが、そのとき、モンパルナスやサン・ミシェル界隈の美味しい店で一緒に舌鼓を打ち、談論風発。愉しいときを過ごしたことを痛切に思ひ出します。 三川も食べることが好きで、1999年から2000年にかけて私が在外研究でリヨンにゐたとき、以下のすべてではありませんが、時々は食日記のやうなものをメールにして送つたことがありました。 三川がゐなくなつて、このところ何も書く気になりません。といつていつまで嘆いてゐても、三川の供養にはなりますまい。 当時リヨンから日本の友達に書いたメールを、とくに食べることに絞つて以下に写してゆくことにします。なかには三川に書いたものもありますし、さうでないものもありますが(宛名は省きます)、食を愛した三川への追悼のつもりです。 天国の三川が莞爾として読んでくれることを祈りつつ。 なほ、当時は一フラン十八円といふ時代でした。 ************************** 9月14日 リヨンはフランスで人口あたりもつともレストランの多い町です。辻静雄さんがリヨン近郊に学校を開いたのは重ね重ね立派なことだと思ひます。 それはさておき、レストランばかりでは高くつくので、自炊をすることが多いのですが、さういふときはスーパーで買つたワインを一本空けます。この前のメールで最低10フランと言ひましたが、訂正。8フランでした。水よりも安いといふのはうそ(痩せると評判のコントレックスもこちらでは平均一本3.2フランですから、水の方が安いことは安いのです)。 それで、今日飲んだのはボージョレのひとつで、さあ名前が驚くなかれ、PISSE-DRU。つまりじやーじやー出るおしつこ。買ふとき数分悩んだのですが(レジのお姉さんが若くて美人なので)、思ひ切つて買いました。これは高くて26フラン。まさに奮発。といつても今のレートなら500円しないのですが。 9月22日 中華街といふのは、フランスのどこの町でも、いや街といふほどなくても存在します。といつても日本式の中華を食べさせる店は少なく、ベトナム系中華で、これがまたおいしい。香草、といふより臭草といひたくなるやうな草で香りをつけたものが中心で、慣れるとたまりません。ミントは中華によくあふと思ふし、冷やしたロゼワインもなんていいんだらうと思ひます。それと生春巻き。これがたまらないし、漢字で書くと、正宗牛肉粉といふのがまたおいしいのです。米でつくつたきしめん風の、しかしもつとつるつるした食感のいい麺を想像してください。一種のラーメンですが、だしはおそらく牛肉を中心としたもので、そこにミントはじめ、各種香草が別皿にのつて出てきます。そして麺が見えなくなるくらゐに、生の柔らかい牛肉がのつてゐますが、スープの余熱でしだいに赤身が減つていつて、ちやうど食べごろになつた状態で運ばれてきます。さて、まづ、レモンをぎゆつと絞ります。あとは好みに合はせて香草を入れ、かき混ぜて食べるのですが、これは一度食べたら病みつきになります。 ところで、中華街のむかうを散歩してゐたら、今度はそこがアラブ人街であることに気がつきました。ちやうど昼時だつたので、クスクス(大好きなアラブ料理です)を食べようと思つて入りました。味は最高。値段も安いのですが、ひとつだけ問題がありました。それはアルコールを一切おいてゐないといふことです。パリのクスクス屋はそれでも大都会ですからそんなことをいつてゐられないのでせうが、ここリヨンはフランス第二の都市とは言へ、大都市といふには至らず、したがつてアラブ人街もそのままに「濃い」のです。しかたなく、コーラを頼みましたが、がつかりでした。 もうひとつところでを続けますと、昨日、日本から来ていて明日帰るといふ仏文の大先生のお宅に招かれ、70フランのワインをご馳走になつたので、「いやあ、さすがに先生はお口がおごつていらつしやいますね。ぼくなど20フランぐらゐのしか飲んでゐませんよ」と申し上げたら、間髪(かんはつ)を入れず言はれました。「学生ぢやないんだから、もつといい酒を飲みなさいよ」。言葉なくうなだれて帰つてきました。また書きます。 10月5日 今日は昼食は安レストランで、盛り合わせ方式のクスクス39Fとアルジェワイン(たうとうみつけた)Sidy Brahimのハーフボトル29F、コーヒー7F、計75Fといふ食事をしたので、夜は自炊。ただ、土日たつぷり休んだので元気回復。フランス料理風自炊をこれからつくるところ。 saumon de Norvège à la sauce américaineとsoupe de poisson、それにチーズといふ組み合わせ。君の言ふ通り、魚がおいしいよね。今日の鮭もじつにいい色をしてゐる。リヨンはパリに比べると、流通の面で魚は落ちるけれど、それでもまあいいとは思ふ。ワインはBeaujolaisの白。めづらしいでせう、ちよつと。あとはbaguetteで。自炊もなかなか愉しいものだね。フランスは花が安いので、花を食卓に飾つての食事です。二束買つて31F。贈り物ですか?といはれたので、Non, c'est pour me régaler avec de jolies fleurs au lieu de jolies compagnes de table.と言つたら笑つてゐたけれど、あれはぼくのフランス語を笑つてゐたのかもしれない。 とまれ、時間は大幅にずれているとは思ひますが、Bon appétit!
by romitak
| 2007-10-13 17:38
|
ファン申請 |
||