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たつた今知つたことで、そのまま書くのも躊躇はれるが、やはり書いておきたい。
青土社の編集者として活躍した津田新吾さんが亡くなつたといふ。さる編集者の方よりメールにて知らせて頂いた。 亡くなつたのは先月とのことである。 ロミについてあれこれ書いてゐるなかで「乳房の神話学」の書名を出したことがあつて、それに反応して「訳しませんか」と言つてくださつたのが津田さんだつた。どこを開いても乳房のエピソードにあふれるロミの名著ではあるが、毎日翻訳に励んでゐるうち、あまりに豊富な乳房の話に辟易といふわけではないが、息詰まる思ひがして少し原稿の進捗が滞ると、ラブレーの乳房讃歌を歌にしたCDを送つてきたり、年賀状にはNewとかけて「乳春」と記してきたりして、私を励ましてくださつた。今回の「Oの物語」の造本をしてくださつた高麗隆彦さんを装訂に起用したのも津田さんである。高麗さんとはそれ以来のおつき合ひとなつた。乳房の神話学は1997年に刊行された。造本、内容とともに、私がもつとも気に入つてゐる仕事の一つである。 それから数年して、これは津田さんから「訳しませんか」と云はれるまで読んだことのなかつた本、ノゲーズ「人生を完全にダメにするための11のレッスン」を出すことになつたが、このときも(乳房でもさうだつたが)私の訳文に津田さんはほとんどクレームをつけなかつた。初稿を渡したときに頂いた「訳文に満足してゐます」といふお便りはいまも私の仕事の支へとなつてゐるだらう。 その後、津田さんが健康を害されてゐるといふお話はご本人からも伺つてゐた。元気になつたら次の仕事をしませうね、と仰言つていらしたのだが、結局今年の春、青土社を辞められて、フリーの編集者になつて療養生活をしてゐたといふ。それは二度のお便りに記されてゐたことだつた。 「またいつかお目にかかれますように念じています」と自筆で書かれた葉書を前にしていま、あまりに早いその死を心より悼まずにはゐられない。年齢も存じ上げなかつた。私はただ、津田さんが辣腕編集者であつたといふ事実を、現実の仕事を通じて存じ上げてゐるだけである。 ご冥福を伏してお祈り申し上げたい。
by romitak
| 2009-09-18 09:55
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