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葉紀甫(すゑ・のりほ sue norio)が遺した全口語詩集を入澤康夫先生が一文字一文字打ち込んで、注と補記を緑の字で入れ、印刷製本したのが、こたび私家版として先生がお出しになつた『葉紀甫全口語詩集』である。
いまそれを繙く。大切に繙く。葉紀甫の詩作品についてはまだ語ることが出来ない。仕事のあひまに流し読みをすることを許さない言葉の凛とした佇まひが感じられるからである。そのうちじつくり読み、再読を重ねて、書きつけたいと思ふ。 けふは本詩集の成立について、私が理解してゐるままに記してみたい。葉紀甫は入澤先生の新制松江高等学校第一学年時の「級友」で、合同詩を作成したいはば「同志」であつた。1930〜1993。詩集は四冊のみ。今回の入澤先生のご盡力ではじめて世に出た作品も尠くない。 今回の「全口語詩集」は目次、I 詩誌「光年」発表作品、I−2、詩誌「光年発表作品、II 初期詩篇ノート、III 拾遺詩篇 および補説、III- 2、補説からなる。詩人没後に入澤先生が朝日に寄せられた追悼文も入つてゐる。決定版の詩集である。 今回の詩集作成は先生のまつたくの無償の情熱によつて世に出た。採算とはまつたく無縁の、純粋な詩への情熱と十七回忌を過ぎた亡友への追慕の思ひが結晶した奇蹟的なお仕事である。文学にはまだかういふ奇蹟が可能なのだといふことを読者は痛感するだらう。 有名になること、自分がいつぱしの文学者であると慢心の中で自負してゐる輩にはつひに無縁の文学的世界がここには広がつてゐる。入澤康夫先生ご自身の詩業がどれほどの高みに達してゐるかは人の良く知るところである。 さりながら、先生が傘寿をむかへられてもなほ、これだけ熱くほとばしる詩への情熱と、亡き友への友情をあふれんばかりにお持ちの方だといふことを知つて涙しない者はゐないだらう。 私は今から十一年前の春、明治大学に転じてはじめて入澤先生のご謦咳に触れた。先生とかういふかたちでお知り合ひになれたことを私は心からの喜びと考へてゐる。先生にはくれぐれも御恙なく、ますますのご健筆をお祈り申し上げたい。
by romitak
| 2011-06-04 11:22
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