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久しぶりに更新する。
遅ればせながら、新しい年が皆さまにとつて多幸の一年となりますやうに。 けふは詩の話をひとつ書くことにしたい。 Darkness comes out of the earth. And swallows dip into the pallor of the west. From the hay comes the clamour of children's mirth Wanes the old palimpsest The night-stock oozes scent And a moon-blue moth goes flittering by All that the worldly day has meant. Wastes like a lie. The children have forsaken their play A single star in a veil of light Glimmers; litter of day Is gone from sight. 高校卒業直後か大学にはいりたての頃か、あるいはもう少しあとなのかは今となつては茫洋としてはつきり思ひ出せないのだが、たまたま通りすがりの本屋の棚で見つけた、角川文庫の安藤一郎訳『愛と死の詩集 D. H. ロレンス詩集』にいたく心動かされ、すぐに原書を探して、安藤一郎の名訳を頼りに、一篇一篇読んでは口遊んでゐたことがある。あくまで素人として云ふなら、当時の私にとつてロレンスは何よりも詩人であり、チャタレーその他の小説家ではなかつた。 上記の作品はなかでもすぐに覚えた詩で、いまも記憶のままに写したので、あるいは細かなところで違つてゐるかもしれない。ここに書かないが、安藤一郎訳もまだ覚えてゐると思ふ。「黄昏が大地から湧き出て、燕は西空のほの白さに姿を没する……」。 Wanes the old palimpsestといふ詩句が秀逸といふほかない。この詩の要であらう。 暮れなずむ夕空を見てゐるうちにふと思ひ出したので書きつけたまでだが、詩の世界はしばしば私にはある種の小説よりはるかに魅力的である。いささか突飛なことを云ふやうだがプルーストや住大夫師が描き出す世界の細部にこれだけ惹かれるのも、そのことと無関係ではないだらう。岩波書店「文学」三月・四月合併号「特輯・淨瑠璃の言葉」に駄文を寄せることになつて、先日何とか書き終へた。何とも幸ひなことに、住大夫師の対談も巻頭に載るといふ。敬愛する師と同じ雑誌に載せて頂けるといふのは私にとつて何よりの喜びである。三月発売とのこと。 発売日が近くなつたらまたご案内申し上げます。 追記 ところで、むかし、十年間、武蔵野美術大学でフランス語の非常勤をしてゐたことがある。そのとき、武蔵野美術大学の仏語の専任はお一人のみで、乾(いぬゐ)慶四郎先生とおつしやつた。乾先生は大学のはるか後輩にあたる私をことのほか可愛がつてくださつたと思ふ。乾先生は安藤一郎のお従弟で、しばしば安藤一郎のお話を聞かせてくださつた。その乾先生もすでに鬼籍に入られた。とくに記して、先生のお人柄とご遺徳を偲びたい。
by romitak
| 2011-01-16 17:09
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