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老年に入つた証拠かどうか、近頃、かつてお目にかかつたことのある文学者のことがゆくりなくも思ひ出されてならない。すでに二〇〇三年三月刊「幻想文学」第六十六号に書いたことがあるが、かつて中井英夫さんにお目にかかつたこともさうで、中井さんのお姿をいまも眼前に見るやうな気がする。
その昔、鈴木貞美さんが主宰してゐた「新青年研究会」に参加してゐたことがある(その成果は、第一回大衆文学賞を受けた新青年研究会編『新青年読本』作品社刊に結実した。その本に私は「新青年」で翻訳紹介された作家について、二つの駄文を寄せてよしなしごとを書いたのだが、そこで名前を出したウッドハウスが国書刊行会等で近年陸続と翻訳されてゐるのが嬉しくてならない。吉田健一に導かれる形で若き私はウッドハウスを紀伊國屋書店や丸善で取り寄せて読んでゐたからである)。八十年代中頃だつたやうな気がするのだが、月一回、最初は河出書房新社で、やがては作品社で毎月の例会が開かれてゐた。のちに文藝批評家になつた縄田一男さんも来ていらした。 「新青年研究会」がまだ河出書房で例会があつたとき、二度ばかり中井さんがその会に来て下さつたのである。中井さんも「新青年」を愛読していらしたといふことで、ミステリーにまつはるご自身の読書経験や小説家たちについてお話しして下さつたのだが、『虚無への供物』『悪魔の骨牌』『人外境通信』『月蝕領宣言』『とらんぷ譚』『黒衣の短歌史』『薔薇幻視』『香りの時間』をはじめとする本で中井英夫に接してゐた私は、いはば憧れの文学者を身近に拝見しただけでなく、親しく声をかけて頂いたことに、狼狽の混ざつた感動を覚えてゐた。それについてはいささか説明が必要かもしれない。当時、私はとある私立の女子中学・高校でフランス語の非常勤講師をしてゐたのだが、生意気盛りの私が授業のあひまに文学や藝術の話をしきりにしてゐたせゐだらうか、文学に関心をもつた数人の生徒が中井英夫をしきりに推奨する私の言葉に反応して、中井英夫を読み始めたあげく、何と、女子高校生数人だけで、私にはむろん何も云ふことなく、中井英夫の自宅へ押しかけていつたのである。このあたりのことも含めて、旧稿虫干しといふ形で、ほとんどの方がお読みではないと思はれる前記「幻想文学」の拙文を以下、数回に分けて再録することをお許し願ひたい。
by romitak
| 2010-11-13 14:49
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